愛染明王の牙

人間と同じように二牙(犬歯二本)を見せているのが不動明王*1であるのに対して、愛染明王*2は上顎の犬歯(牙)が唇の外で上に向かって生えている。下顎の犬歯は普通に生えている。
不動明王の犬歯が人間のものと同じであるのに対して、愛染明王のそれは人間のものとは違い、この生え方は愛欲の持つ野獣性を表しているといわれている。
つまり、いつも怒りの表情を顕わにしている愛染明王の牙は、人間の愛欲に見られる野獣性を砕き、仏様に心を向けるようにする知恵の表れだともいえる。

*1:牙の出し方には二種類ある

*2:読みは「あいぜんみょうおう」