バイキングのおしゃれは歯の溝


スウェーデンで発掘された西暦800年〜1000年頃のバイキングの人々の遺骨の調査から、貴重な発見がありました。
彼らは移動した地域を征服したり、略奪するだけではなく、そこで接触した文化を積極的に取り込むという側面も持っていたようです。その証は、彼らの「歯」にありました。

スウェーデンのある人類学者が、発掘された数多くのバイキングの頭蓋骨を調査したところ、そのうちの幾つかに興味深い特徴を見出しました。
その特徴とは、彼らの前歯を横切る水平の溝です。
同様の状態の人骨が数多く発見されたことで、これは何らかの意図をもって故意に刻まれたものではないかと考えられるようになりました。

このような加工を歯に施した理由としては、装飾目的というのが最も有力な説のようです。そしてそのような歯を加工する文化はもともとバイキングが持っていたものではなく、どこか別の文化から借用したものではないか、というものでした。

例えば、西アフリカのある地方では、同様の歯の修飾を行う文化が存在していたことが知られています。
また、バイキングが、西洋の歴史観では北アメリカを"発見"したとされる時期より500年前にはすでに北アメリカに到達していたといわれることから、北アメリカや、メキシコにも存在していた歯を装飾する文化をもつ人々と接触し、その慣習をバイキング側が積極的に取り込んでいったのではないか、とも言われています。

なんにしても、バイキングが一般的に普及している、海の荒くれ者というイメージに反して、身体の装飾に敏感で、異文化の要素も積極的に取り込んでいたみたいですね。

歯の溝に脂や炭で色彩を施していたのではないかと見られています。
ただ、この装飾自体の目的・意味は未だ不明です。

http://news.nationalgeographic.com/news/2006/02/0203_060203_viking_teeth.html